⑥姫は成瀬くんに守られたい✩.*˚
 エンブレムを渡された後は、主に事前に配られたここの学園についての資料の確認を学園長と一緒にした。

 それから『姫を守るための資金』という名目で、選ばれた騎士には多額のお金が振り込まれたり、裕福な人を警備する仕事につく時に優先されるなど、卒業後の社会的地位も約束されたりと、騎士になることが出来れば、彼らにとって色々と利益があることも説明された。

騎士の中には、私たち姫の家は裕福だから、騎士となり恋愛関係の仲に発展させて結婚を狙ってくる生徒もいるんじゃないか?って話も。

 ただ姫が守られたい騎士を選ぶだけではなく、騎士側の色々な欲も裏では渦巻いているのかなぁって考える。

 適当に選んではいけない空気が流れ、心が重くなる。騎士のその後の人生もかかっているから慎重に選ばないといけない。

 ここの学園に入学した男子生徒は体力はもちろん、知識や細かい性格まで騎士として適正かどうかも審査され、高い倍率を勝ち抜いてきた人たち。だから誰が私の騎士になってもおかしくはない。

 普段何でも迷いすぎて優柔不断だから、その話を聞いて、1ヶ月後にきちんと選べているのかな?って、すごく不安になってくる。

 渡されたエンブレムを見つめた。

 1ヶ月後、私はこれを誰に渡すのかな?
 誰に渡すか、きちんと決めれるかな?




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