すべてを奪われ忘れ去られた聖女は、二度目の召喚で一途な愛を取り戻す〜結婚を約束した恋人には婚約者がいるそうです〜


「青ですね。では他の者でも試してみましょうか。ブルーノ! アメリ!」


 外で控えていた二人の魔力の色は緑と白。申告通りの色が光り、エリックは苦々しい顔でうつむいている。


「ほら、本物でしょう? 細工などするわけがない。エリックといったかな? 君が間違っていたようだね?」


 クスクスと笑うジャレドの言葉にも、エリックは何も答えない。ただギリッと歯を食いしばる音だけが、部屋に響いた。そんな黙り込む彼の横を通り、師匠はアンジェラ王女に検査板をスッと差し出した。


「さあ、アンジェラ王女。この検査板に手を置いて証明してください。あなたもサクラと同じ聖女だというのなら、先ほどのようにこの部屋が虹色の光で満たされるでしょう」
「――っ!」


 師匠はそう言うと、彼女を追い詰めるように一歩前に出た。


「わ……わたくしは……」


 王女の顔は青ざめ、何も言えずに黙っている。エリックも同じだ。屈辱にまみれた顔でジャレドを睨み、拳を握りしめていた。

< 112 / 225 >

この作品をシェア

pagetop