すべてを奪われ忘れ去られた聖女は、二度目の召喚で一途な愛を取り戻す〜結婚を約束した恋人には婚約者がいるそうです〜


「何言ってるの伯父さん。僕は誰かに恋するのも好きだけど、人の恋路も好きなんだよ。かわいい弟子の恋ならなおさらね」


 ふふんと意味深に笑うジャレドは、茶化しながらも俺たちの恋を応援しているのだろう。俺はその気持ちに応えるように、ゆっくりとうなずいた。


「そしたらね……カイル、聞いてる?」


 目の前のサクラは過去にこの練習場で俺に見せた浄化の話をしている。身ぶり手ぶりでその時の様子を語る姿はとても可愛らしい。


(嫉妬している場合じゃない。俺もジャレドもそして記憶が戻ったら大勢の人が、サクラの笑顔を見たいはずだ。ならば俺がするのは彼女を守って記憶を取り戻すこと!)


 グッと握った拳に力を込め、俺は心の中でそう誓った。


「聞いてるぞ。それでサクラの浄化を見た俺は、ちゃんと謝ったのか?」


(妙なことをしてないといいが……自分の行動なのに不安だ)


「謝ってくれたよ。でもね、その前にこうしたの!」


 そう言うとサクラは両腕を下から上へすくい上げるように動かした。まるで小さな子どもを持ち上げて遊んでいるような仕草だ。もしかして俺が彼女にしたのか?
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