すべてを奪われ忘れ去られた聖女は、二度目の召喚で一途な愛を取り戻す〜結婚を約束した恋人には婚約者がいるそうです〜


「アンジェラ王女が結婚って本当かな?」
「殿下から報告の手紙が来ている。強引に事を進めるそうだ」
「でもあんなに暴れてたんだよ〜? あの子が素直に行くかな〜?」


 ジャレドのその言葉にみんな眉間にシワを寄せ考え込んでしまう。アンジェラ王女はカイルのことが子供の頃から好きだと言っていた。ならば絶対に了承はしていないはずだ。


「だが殿下も王女を王宮から出さないようにするだろうし、エリックにも会わせないはずだ」
「まあそっか〜、じゃあ今のうちに忘却の呪いを解いて、サクラの地位を正式に戻しておかなきゃね」
「そうだな。聖女は陛下と対等だ。警備を増やせるし、王女からの面会も断ることができる」


 前回は瘴気を浄化することで頭がいっぱいだったし、異世界に来た淋しさから気楽に接してもらったけど。自分の身を守るためには聖女だと思い出してもらうのが一番早そうだ。


(今回は聖女という地位をとことん利用していこう! 私とみんなのためだもん!)


 二人はその後も教会の警備について話し合っている。師匠は教会全体に登録者以外を入れないようにする結界を張ると言っているし、王女が隣国に行くまで引きこもっていれば無事でいられそう。
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