すべてを奪われ忘れ去られた聖女は、二度目の召喚で一途な愛を取り戻す〜結婚を約束した恋人には婚約者がいるそうです〜


「……サエラ国といえば、アンジェラ王女の結婚は取りやめになったのですか? エリックも今はどこに?」


 あの二人に関しては、すべてジャレドが後始末をしてくれた。あの日かなり遅く合流したジャレドから聞いたところによると、すぐにアルフレッド殿下に連絡し二人は捕縛されたらしい。


 その後のことも俺はもちろん知っているが、サクラは知らない。いや知らなくていいと思っている。しかしなにも説明しないままも良くなかったみたいだ。彼女はのらりくらりと質問をかわす俺ではなく、ジャレドに聞くことにしたらしい。


 罪人の罰など知ってほしくない俺が眉間にシワを寄せると、ジャレドはそれを見てフッと笑い、サクラに説明し始めた。


「ああ、そりゃ気になるよね。怖がらないで聞いてほしいのだけど、アンジェラ王女たちは術返しにあったみたい。口封じの呪いは術を壊したのではなく俺が吸い取ったから良かったけど、忘却の呪いは結界が壊れたからね。魔術がそのままあの二人に返ってきたみたいだ」


 それを聞いたサクラは「そうなんですか……」と呟き、さほど驚いていないようだった。ジャレドもそれに気づいたようで「驚かないの?」と聞いている。


「私の国でも諺で悪いことをしたら自分に返ってくるとか、術を使ったらそれが破られて呪ったほうが苦しむという話があるんです。もちろんこの世界みたいに本当の魔術じゃなくて、おとぎ話みたいなものですけど。なんとなく予想はしていました」
< 208 / 225 >

この作品をシェア

pagetop