すべてを奪われ忘れ去られた聖女は、二度目の召喚で一途な愛を取り戻す〜結婚を約束した恋人には婚約者がいるそうです〜


「うわあ! そうなの!」
「秘密ですよ! 断られたら笑ってください」
「もう、なに言ってるの! そんなことあるわけないじゃない!」


(そう、あるわけないのだ。だって昨日まったく同じことを、私はブルーノさんから聞いたのだから!)


 自分の結婚式も楽しみだけど、やっぱりお世話になった二人が幸せになるのは嬉しい。今日という日は本当に楽しい一日になりそうだ。


「そんなことよりサクラ様、ドレスに着替えましょう!」
「ふふ。そうだね」


 赤い顔を隠すようにアメリさんがそう言うと、あわててドレスを持ってきてくれた。


 ベビーピンクのAラインのドレスに、胸元と裾にはサイラの花の刺繍が入っている。腰には少し濃い目のローズピンクのリボンがついていて、甘めのドレスだ。


「ブルーノさん、刺繍お上手!」
「本当に……私、お裁縫苦手なんですけど。女らしくないって断られたらどうしましょう……」
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