キッチンカーのプリン屋さん。
バスで十分ほど乗って最寄駅に到着すると、マルシェに向かう人も結構いて公園方向へ歩けば人が多くなってきた。
「みよりちゃん、まず何食べたい?」
「えっ、志侑さんのおすすめありますか?」
「おすすめかー……あのお好み焼きが俺は好きかな。よく青空マーケットにも来てるでしょ?」
「確かに、そうですね。食べたいです!」
前にもオススメしてくれたところだよね……だけど、クレープ買っちゃったからやめちゃったんだよね。
「じゃ、行こう。本当にあそこのお好み焼きうまいから」
志侑さんは迷子になるといけないからと私の手を繋ぐと一直線にお好み焼き屋さんに向かって歩く。
本当に好きなんだなぁと思いながらお店に着くと「いらっしゃい」と元気なサバサバ系な女性が顔を出した。奥の方では男性が作業をしていた。
「あれ、水無月さんじゃん。水無月さん、出店してたっけ」
「今回はしてないよ。今日は客としてね」
「へぇー……そっちは彼女? 可愛いね」
「まだ彼女じゃない」
……まだ? まだってどういうこと?
「まぁ、いいか。何にする?」
「俺は豚玉にする。みよりちゃんは?」
「私も、同じもので」
そう言うと、女の人が男性に「豚玉ツーね」と伝えた。メニュー表に五百円と書かれていたので財布を出そうとしたのにスッと志侑さんが出してくれてもう番号札までもらっていた。
早い……っ!
「みよりちゃん、お好み焼き待つ間隣で飲み物買おうか。喉乾いたでしょう?」
「そうですね」
志侑さんは、パパッと効率よく周り一時間ほどで二十店舗全て周り切ってしまった。