まんまるお月様とおおかみさんの遠吠え①~人狼夫たちとのドタバタ溺愛結婚生活♥~
 理人さんの言葉に明るく応対した春くんに対して、雄吾さんはあまり気乗りしない様子だ。

 私だけ話が分からなくて不思議そうな顔をしていると、理人さんはふっと微笑んで言った。

「群れに復帰したので、流石に僕も役目があります。仕事しないといけないので。今日は、その顔見せです。透子さんも今日は大変だったと思いますので、ゆっくり休んでくださいね」

「はい」

 素直に頷いた私を見て、理人さんは目を細めた。そうか、だからあんな中途半端な時間に練習したのかな。彼とした色々を思い出すと、顔がまた熱くなった。


「俺も、そろそろ仕事探さなきゃなー……」

 理人さんが出て行った後、春くんは大きな溜め息をつきながら言った。

 大きなテレビの前に毛足の長いふかふかの絨毯が敷かれて、大きなクッションが何個か置かれているスペースで三人で寛いでいる。

 隣に寝っ転がった雄吾さんは、スマホを持って何か調べているみたいだ。明日の取引のことを、思案しているのかもしれない。

 テレビは、恋愛ドラマを流している。もっとも最初から観てないから話が大まかにしかわからなくて、目を滑っていくだけだけど。

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