まんまるお月様とおおかみさんの遠吠え①~人狼夫たちとのドタバタ溺愛結婚生活♥~
009 危険信号
その後の事は、理人さんのシャツをびしょびしょに濡らしてしまうまで、わんわん泣いてしまったところまではかすかに覚えてる。そして、気がついた時には、この巣で一夜を明かした時に借りた客室だろう部屋に私は寝かされていた。
「夢だったら……良かったのに」
ぼそりと呟いてからふかふかの高級そうな布団から、上半身を起こした。
着ていた服はそのままだったから、可愛い柄のロングスカートがしわくちゃになってしまっていた。後で、アイロンをかけなきゃいけないと思ったところで、部屋の中に低い声が響いた。
「……ここは現実だ。望むとも望まざるとも。何をしなくても、時間は進む」
「雄吾さん……」
薄暗い部屋の中に居たのは、雄吾さんだった。
「……警護の薄いこの巣では、一人にはとてもさせられなかった。寝ているのに失礼だとは思ったんだが……悪い」
彼は布団が敷かれた位置から距離をとって、大きな体を折りたたむようにして扉の前で座っていた。鋭く黒い目が、私のことを見ていた。
「いいえ。謝らないでください。この世界での、人間である自分の身の危うさは、散々聞いたのでもう自覚しました……守ってくれて、ありがとうございます」
感謝を言いつつ、すっかり元気を無くしてしまった私を心配したのか。戸惑ったように、雄吾さんは言った。
「君は……元の世界に、帰りたいか?」
「帰りたいです……でも、帰れないのは知っています」
「……そうか」
「夢だったら……良かったのに」
ぼそりと呟いてからふかふかの高級そうな布団から、上半身を起こした。
着ていた服はそのままだったから、可愛い柄のロングスカートがしわくちゃになってしまっていた。後で、アイロンをかけなきゃいけないと思ったところで、部屋の中に低い声が響いた。
「……ここは現実だ。望むとも望まざるとも。何をしなくても、時間は進む」
「雄吾さん……」
薄暗い部屋の中に居たのは、雄吾さんだった。
「……警護の薄いこの巣では、一人にはとてもさせられなかった。寝ているのに失礼だとは思ったんだが……悪い」
彼は布団が敷かれた位置から距離をとって、大きな体を折りたたむようにして扉の前で座っていた。鋭く黒い目が、私のことを見ていた。
「いいえ。謝らないでください。この世界での、人間である自分の身の危うさは、散々聞いたのでもう自覚しました……守ってくれて、ありがとうございます」
感謝を言いつつ、すっかり元気を無くしてしまった私を心配したのか。戸惑ったように、雄吾さんは言った。
「君は……元の世界に、帰りたいか?」
「帰りたいです……でも、帰れないのは知っています」
「……そうか」