契約彼氏とロボット彼女

3分間



「逃げろ」



犯人の腕を掴み上げている彼は横目でそう言った。


本当は助けを呼ばなきゃいけなかったのに、気付いた時には車の中に駆け込んでいた。
ショックと恐怖に立ち向かえず、無力な自分が腹立たしく思っていた。

でも、逃げてしまった瞬間から彼は会えない人に……。



滞在時間は3分にも満たなかったけど、未だに何度もフラッシュバックしてしまうほど恐怖が叩き込まれてしまった。

しかし、助け出してくれたあの瞳が一生涯忘れられないものに。




大学に入学してから監視の目が行き届かない時間を使って、都内のコンビニを一軒一軒周って彼を探した。

きっと、都内のコンビニの3/5くらいは周っただろう。



菅と二人きりで地図アプリを開きながら、今日はこの範囲を周ろうって。
時間を変えれば会えるかもしれないって。
右京と左京には心配かけたくないから口止めをお願いして…。

菅には彼に会いたい理由を伝えていなかったけど、何も聞かずに手伝ってくれた。



そこから二年二ヶ月後の先月中旬にようやく彼を見つけて、毎日3分間だけ会いに行った。

何故たったの3分間だけかと言うと、籠の中の鳥はあの事件を機に人一倍臆病になってしまったから。

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