Cherry Blossoms〜偽りの絆〜
「すぐあの世に送って差し上げますよ」

キョンシーがニタリと笑う。一花の息を呑む音がした。桜士がどう動くかを考えていると、ヨンが「おっと」と言いながら何かを避ける。それは針だった。

「本田先生は一人じゃない!!俺がいる!!」

そう大声で言いながら理科室に飛び込んできたのは、クラウディオだった。息を切らしながら、キョンシーたちを睨み付ける。

「クラウディオ先生!!」

一花が、彼の名前をどこか嬉しそうに呼ぶ。クラウディオはキョンシーを睨み付けたまま、一花に言う。

「一花、早くヨハンの手術を」

「はい」

クラウディオの言葉に、一花はすぐにヨハンに麻酔と消毒をかけ、手術を始める。桜士とクラウディオの目が合う。桜士はすぐに動いた。

「うあッ!?」

桜士は拘束していた男性を、二人の男性の方へと勢いよく突き飛ばす。突然のことに二人は逃げることができず、男性に思い切りぶつかり、倒れてしまう。

クラウディオはキョンシーに殴り掛かり、桜士もそれに応戦し、ヨンを蹴り上げようと足を勢いよく上げる。
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