Cherry Blossoms〜偽りの絆〜
「どうしたの?一花」

クラウディオが訊ねると、一花は銃を地面に置き、近付いてくる。刹那、クラウディオの両手が彼女の小さな手に包まれた。

「一花?」

その温もりに、クラウディオの瞳が潤んでしまいそうになる。一花は真っ直ぐな目を逸らすことなく、口を開いた。

「クラウディオ先生、無理して平気なフリをしないでください。本当は苦しくて、泣きたくて、命を救うはずの立場である私たちが命を奪ってしまうことを、心の中で葛藤しているんですよね?」

まるで、心の中を見透かされたようだった。クラウディオの唇が震える中、今度はミンジュンが肩に優しく振れる。

「リーダーだからって、全部一人で抱えなくていいんですよ。あなたも、僕も、ここにいるみんな一人じゃないんです。一緒に背負いましょう」

「そうそう、隠し事なんてさ水くさいよ!」

アルフレッドがクラウディオに笑いかけ、ヨハンも笑いながら背中をバシバシと叩く。クラウディオの胸が、ジワリと温かくなっていった。

「……ありがとう」

怖くない、一人じゃない、そう安心した刹那、クラウディオの瞳から涙が溢れた。
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