愛していますよ、だから幸せになってくださいね!

「他のゲストが居るとは聞いてなかったから面倒だね。当初よりも早く切り上げても良いのかもしれない」


 五日ほどの滞在予定だった。他のゲストが誰だかわからないが、高位貴族である事は確実だ。ミシェルに言うと、苦笑いしていた。緊張しているのだろうかいつもより笑顔は少ない。


 改めてミシェルを見るとシルバーの髪にピンクの瞳は可愛らしいが、もうすぐ成人を迎える十六歳になる。

 顔つきは愛らしいにも関らず、ふいに大人のような顔をすることがたまにある。ちょうど少女から大人になる時期なんだろうと思う。



 立居振る舞いは侯爵家で身につけたもので高位貴族にも引けなんて取らないし、恥じるところは一切ない。

 素直な性格ゆえ真面目に学び、借りている屋敷で妃教育をしている教師は褒めていたし、屋敷の使用人も皆ミシェルを認め屋敷の雰囲気も良い。何より私を信頼してくれているし、私もミシェルを信頼している。


 おかしいのはこの国なんだろう。ミシェルは自分の世界が狭かったと言った。私もそうだったのかもしれないが、恵まれていたんだろう。


 この離宮で過ごす貴族達がミシェルに害を及ぼさなければ良いのだが……



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