来る日も来る日もXをして
「私もです。同じ人かもしれませんね。」

「たぶんそうだね。彼の家、洗面所にいろんなコスメあったし。皆が置いてってるんでしょ。」

二人は何食わぬ感じで後片付けをしている。

「えっ!?そ、それって・・・いいの?」

───そして相手は誰なの!?聞きたいような聞きたくないような。

「別に好きなわけじゃないですから。」

と美彩ちゃん。

「都合いい時イケメンと会ってカラダとココロ潤して。エステみたいなもんです。」

愛来ちゃんが続くと、美彩ちゃんもその通りと言わんばかりに頷いている。

「えええ・・・ん?じゃ、明日先輩は美彩ちゃんの本命ではないってこと?」

「もちろんそうですよ。チャラい噂しか聞かないじゃないですか。美人は3日で飽きるって言うし、イケメンよりそこそこの男がちょうどいいんですよ。」

「そうそう。漫画でハイスペックイケメンに溺愛されるとかよくありますけど、あれって漫画だからいいんですよ。実際付き合ったり結婚したらウワキとか心配そうだし。自分より美しいカレシやダンナなんてちょっと。こっちの方がスペック上で相手に劣等感を持たせるというか。その方が大切にしてもらえそうじゃないですか?相手いない間はイケメンと遊んで、自分の手の内で転がせる男と落ち着くのが賢いと思いますよ。」

愛来ちゃんの持論に目が点になっている私とは対照的に美彩ちゃんは『それな!』と同意すると立ち上がった。

「さて一服してこよ。愛来ちゃんも行くでしょ?」

「行きます。タバコは美容によくないと思いますけどやめられないから、その分イケメンで美容成分補ってるんですよ。」

「おっ、さすが同士。いいこと言うじゃん。じゃ、菘先輩、お先に失礼しますね。」

二人が出ていくのをポカンとしたまま見送った。4分の1ほど残ったコーヒーはすっかり冷めきっていた。
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