暴君CEOの溺愛は新米秘書の手に余る~花嫁候補のようですが、謹んでお断りします~
Side 創介
ピピピ。
小さな電子音が聞こえた。

体温計を取り出し、それを見た彼女が一瞬驚いた顔をする。

「どうした、高いのか?」
「いえ・・・」

嘘をつけ、明らかに動揺しているじゃないかと言いそうになったがグッと我慢して、彼女に向けて右手を差し出した。

「え?」
「体温計、確認させてくれ」

何度だったと聞いたところで、適当なことを答えるつもりだろう。
だったら自分で確認した方がいい。

「あの・・・少し動いたから上がったのかもしれませんし」
「ここまでは俺に抱かれてきたんだから、動いてはいないだろ?」
「それはそうですが・・・ほら、もともと高温体質で」
「いいから貸せ」

くだくだと言い訳を並べる手から体温計を奪った。
あー、やっぱりか。

「38.6度は高温体質でかたずけられる体温じゃないぞ」
「はい」

ここに運んでくる間も体が熱いとは思っていた。
でもここまでの熱があるとは思わなかった。
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