イケメン双子の総長さまは孤独な姫を甘い愛で包み込む。

「……わかった。母さんに言っておく。無理だけはするなよ」


「ありがとう」



聖奈が学校を休みたいと言ったのだ。


何も話さないかと思ったけどお願い事を言ってくれるだけまだマシか。


聖奈をひとりにしたくなかったけどこれ以上負担はかけたくない。ベッドから降りて、部屋を出ていこうと歩き出す。


その時。



「寂しい……」



ボソリと聖奈がつぶやいた。


それは聞こえそうで聞こえない声で。多分俺じゃなかったら聴き逃していただろう。


これが、聖奈の本音。



「聖奈。弱くたっていい。本当に自分がダメだと思った時は俺のところに来い。全部受け止めてやるからな」


「え……」


「じゃあな」



ーパタン。


さっきの声は聞かれたくないものかもしれない。今俺にできるのはこれくらい。


心が納得していないけどこれが、きっと正解だ。



「……よろしいのですか?」


「うわっ。お前、いたのかよ!」


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