イケメン双子の総長さまは孤独な姫を甘い愛で包み込む。

『お前、きたねーんだよ。こっちくんな、病原菌!』



「いやっ……!」



暗い、狭い部屋で殴られ蹴られ、奴隷のような日々を送ってきた。柚琉達に出会ってからは思い出すこともなかったのに、今は毎日のように夢に出てきて、眠れない。


誰か助けて。


誰か、私を愛して……。


孤児院にいた頃、ボス的な存在だった真嶋颯。真嶋は強くて怖くて、怒ったら暴れ出す。


孤児院の中でも1番の問題児だった。


そんな彼は裏社会にも手を染めているという噂は耳にしたことはあったが、この間再会するまで知らなかった。


なんで……私のことをそんなに追い詰めるの?


考えても考えても出ない答えに頭を悩ませて。


負のループから抜け出せずにいた。


私はもう一度横になり、布団を頭まで被る。お願いだから、私のことはほっといて……。


しばらくそうしているうちに、睡魔に襲われて重いまぶたをおろしたのだった。
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