君の愛に酔う      ~藤の下で出会った2人の物語~
それからというものの、
エミリアは個人的にアランに会いに行っているようだ。
エミリア本人に聞くと一目惚れだったらしい。
しかしエミリアの努力も空しく、アランは勉強で忙しいため、あまり相手にされていないようだ。

そういうわけで、最近ではエミリアの恋の悩み相談が日常になっている。
「王妃様、アランさんって女性に興味がないんでしょうか?」
「そんなことないんじゃない?彼も勉強でこっちに来てるから、忙しいのよ。あの人って昔から器用じゃないし。」
「でもお忙しいのは事実みたいです。最近は孤児院でボランティアを始めたって言ってました。」
「孤児院で何をしているの?」
「孤児院の子どもたちの健康診断を無償で行ってるみたいですよ。医者の卵だから、修行の一環でと言ってました。」

「まぁ、王妃様の幼馴染の方は良い志をお持ちなんですね。」
ハンナが会話に加わる。
「先の内戦で戦災孤児が増えて孤児院も経営が大変みたいです。なかなか子どもたちの健康管理にも手が回っていないでしょうから、そういう奇特な先生がいらっしゃると大助かりでしょうね。」
「ねぇ、ハンナ。私にも何かできないかしら。私は毎日平和な王城で時間を持て余しているのよ。アランみたいに、私も困っている人たちの助けになりたい。」
「良い心がけだと思います。陛下のお母上に当たられるクラウディア様が生前ご支援されていた孤児院がございますから、そちらを支援されてみてはいかがでしょう。亡き母上の志を継ぎたいと王妃様がおっしゃれば、陛下もお喜びになるはずです。」
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