君の愛に酔う      ~藤の下で出会った2人の物語~

形成逆転

「どうなることかと思ったが、無事に終わってよかったよ。」
マグノリア王国軍のテントの中で、ロートシルトは一息つく。
(クララも無事に帰って来てくれたし。)
今は父親と談笑しているクララに視線を送ると、それに気づいたクララが顔を赤くする。

ロートシルトがウィリアムに会うのは今回が初めてだった。
数年の治世で国力を急激に押し上げたことから、
狡猾で抜け目のない人物かとなんとなくイメージしていたが、良い意味で裏切られた。
実際のウィリアムは朗らかで人当たりが良く、愛情深い国王だった。

ウィリアムから出された条件は、
ウィステリアがゲッティンゲンの軍を制圧した後、
マグノリアは即時にウィステリアと停戦し、ウィステリア軍と合流。
そのままユーフォルビアとの国境を越えて、ユーフォルビアへと侵攻するというものだった。
ロートシルトは部下が淹れてくれたコーヒーを飲みながら先ほどの会談を思い出していた。
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