君の愛に酔う      ~藤の下で出会った2人の物語~
自分もウィリアムのようになりたいと思ったユリウスは早速行動に移した。
いつもの軍服ではなく、普段着に着替えて街に出かける。
そんな国王の姿にはじめは国民たちは戸惑っていたが、
気さくに話しかけてくれる姿にすぐに心を開き、ユリウスの人気は急上昇した。
今ではユリウスがひとたび街に姿を現すと、
イケメン国王と会話したいという女子がユリウスに大勢群がる始末だ。

一方で対照的な末路を辿ったのが、ユーフォルビア王国。
ウィリアムやウィルヘルミーナの予想通り、
ユーフォルビア王国では革命が起こり、絶対王政は崩壊してしまった。
贅沢三昧で国民から憎まれていたベルナール国王とシャンタル王妃は革命派により公開処刑。
シャンタル王妃の実家ヴァランタン侯爵をはじめとする王党派貴族たちも捕らえらえて
その多くが処刑されてしまった。
一部の貴族は伝手のある諸外国に亡命して生き延びたものの、爵位も特権も取り上げられている。
ジゼルの継兄弟たちは一時はギロチン送りかと思われたが、
いずれも未成年ということで処刑は免れた。
長女デルフィーヌと次女のドミニクは修道女として出家し、
三女のシャルロットと王太子ダミアンはどこかに連行されて消息不明となっている。
噂では女帝ウィルヘルミーナが匿っているとかいないとか。

革命政府によってユーフォルビア共和国として生まれ変わった隣国を見るにつけ、
国民の支持を得ることがどれほど重要かということをユリウスは痛感するのだった。
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