君の愛に酔う      ~藤の下で出会った2人の物語~
いつもは侍女に丸投げするお茶会の準備だが、
今回はルイーザは大張り切りで取り仕切っている。
あの憎き王妃から出席の返事をもらって以来、
ルイーザのやる気スイッチは完全にオンになっていた。

招待客は取り巻き以外にも
シュヴァルツ公家となんらかの取引がある家のご婦人や貴族令嬢で固めた。
みんなルイーザのイエスマン達だ。
席次や会場の装飾、お菓子やお茶の種類まで細かくルイーザが指定した。

そして今日はいよいよそのお茶会の日である。
お茶会開始の1時間ほど前ぐらいから招待客が集まりだし、
それぞれおしゃべりに興じる。
そしてほとんど招待客が集まったとき、
ようやく本日の主役が到着した。
「皆さま、ごきげんよう。」
ジゼルは努めて明るい声を出す。
「ごきげんよう、王妃様。」
招待客たちは口々に挨拶をする。
ジゼルは最も上座の席に案内され、そこに着席した。

ジゼルが着席したのを合図に、ルイーザが挨拶を始める。
「皆さま、本日はささやかなお茶会にご出席いただきましてありがとうございます。ご覧のとおり、本日は王妃様もお見えです。怪我から回復された王妃様の快気祝いも兼ねております。ぜひとも楽しい時間を過ごしてくださいね。」
ルイーザの挨拶に拍手が起こる。
ジゼルにとっては初対面の人がほとんどなので、一人ずつ簡単に自己紹介をしてお茶会はスタートした。
お茶会はジゼルが思っていたよりも随分と、いやいたって普通に進行している。
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