ホワイトビターショコラ〜幼馴染からの卒業〜

◆ビターショコラ side.Toya




俺、和泉(いずみ)橙矢(とうや)には、ずっと想いを寄せているやつがいる。

そいつは昔から騒がしいのが大好きで、友達と一緒にバカみたいに騒いだり、スマホで動画回したり。
自分が楽しみたいだけに見えるけど、その根底には人を楽しませたい、笑顔にしたいって思いがあること、ちゃんと知ってる。

でも、やっぱりあいつ…くるみはバカだ。

俺がそんな風に想ってることなんか、1ミリも気づいてないんだから。


…なんで俺がわざわざ寮に入ったと思ってんだよ。

動画のネタ集めになりそうだから、なんてふざけた理由で入寮した幼馴染の傍にいたかったからだぞ。

俺の方が百倍ふざけた理由なことはわかってる。

バスケにもっと集中したいから、なんてカッコつけたこと言ったけど、本当は惚れた女の視界にどうにかして入りたいだけの、バカな男なんだよな…。


「橙矢!なんか面白いことして!今撮ってるよ」
「ハア!?お前勝手に撮るなよ!」
「大丈夫、他の人にはちゃあんと許可取ってるから」
「俺にも取れ!!」


だけど、幼馴染以上の関係を未だに超えられない。



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