甘すぎる小悪魔に見つかったなら。






この高校に,女の子の友達はさして多くない。

可愛くて,なんだか私とは違って見えて。

何より重大なのが,何を話したらいいのか分からない点にある。

どの子とも,仲は悪くないんだよな。

それ以上に,踏み込めないだけで。

どうも,話しているとほんわかして,ばいばいとなってしまうから。

女の子って,分からない……

いつも,声をかけたいときに,そう躊躇してしまう。

だから……今年もーちゃんと仲良くなれたのは,私にとって1番の救いである。

その数々の結果。

私の高校生活がどうなったかと言えば。

過ごす殆どの時間は,私一人男子の輪に混ざっていたり。

男子だとか女子だとか,私にはあんまり馴染まないけれど,確かにそんな境界は存在していて。

誰が強制するまでもなく,きっと感性の部類で分けられてしまっていて。

私はただ,"そっち"にいる。

緊張することなく素で笑い,話し,いつからか私は女じゃないとどや顔で言われるようになった。

身嗜みに気を付け,仕草に気を配り。

それでも"俺達はお前を女と思ってない"なんて変な称号を賜って。

毎日のように聞かされる。

女に産まれて嬉しい私は,もちろん抗議するものの……

最近ではもう諦めつつもある。

そんなこんなもあり,人間的にチョロいのは分かる。

いや寧ろ全力で共感する。

そんな自分も,別に嫌いではない。

でも,でも。

恋愛的にチョロいと言われるのは……

1人の女の子として,心底心外だ。

少しだけ,泣きたくなるような気持ちがした。

その言葉に,いい意味なんて全然ない。

だって侮られてるって,そうゆうことだよね……?

それは,なんか,ちがう。

すごく,すごく,今までに無いくらい悔しい。

じわりと涙が滲んだ──その時。



『……ひゃくめんそう』



耳に心地よい,アルトの声がした。
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