ひだまりで誓う桜色の愛
とはいえ、バイトを増やす選択をしたのは自分。
疲れていたからと、予定と薬の残量を確認しなかった私が悪い。

これで3回目なんだから、いい加減気をつけないと。



「今日もよろしくお願いします」

「こちらこそ。では始めますね」



反省しつつ荷物を長椅子に置き、一礼して着席。1ヶ月半ぶりの診察が始まった。



「減薬から今月で3ヶ月が経ちますが、調子はどうですか?」

「雨の日以外は特に問題はないです。テストも無事に全部終わって、今は毎週バイトに通っています」

「そっか。良かった。先月に何回か雪が降りましたけど、気分は大丈夫でしたか?」

「はい。降る前は少し憂鬱だったんですけど、雪だとわかった途端、落ち着きました」



質問に答える私に、先生は優しく頷きながらパソコンのキーボードを打っていく。


私の両親と同じく、今年で50歳を迎える先生は、この病院に勤務して20年以上のベテラン医師。

温厚な性格で対応が丁寧だと、患者はもちろん、患者の家族や従業員からも評判がいいんだとか。
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