ひだまりで誓う桜色の愛
バッグからスマホを取り出し、アルバムアプリをタップする。



「あっ」

「ん? どうした?」

「なんでもない。ちょっと待ってて」



運転中の父に短く返事をして、高速スクロールで一気に遡る。


撮るだけ撮って見直さなかったせいか、開いた途端、苦い記憶がよみがえった。

お菓子のスクショはお店に着くまでに厳選、梅の写真は多いから家で整理しよう。



「お父さん、これがガーベラだよ」

「あぁそうそう! 思い出した! こりゃまた鮮やかだこと」



信号が赤になったタイミングで写真を見せると、車内に感嘆の声が響いた。



「チューリップもいいが、こっちも綺麗だな。この子がくれたのか?」

「うん。部活の後輩なの」



部室の前で目を細めて笑う、私とポニーテールの女の子。


彼女は1つ下の後輩、千尋(ちひろ)ちゃん。

中高6年間、共に部活動に励んできた戦友で、担任と顧問に続く恩人の1人。

柊太とも仲が良く、先週の卒業式では個別にバラの花束をもらったらしい。
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