とろける程の甘美な溺愛に心乱されて~契約結婚でつむぐ本当の愛~
「私のことなんてどうでもいいよ。お父さんの工場のこと、涼香姉さんは本気でそう思ってるの?」


何だか心が痛くなる。


本心じゃないって思いたい。


「そうよ。パパはずっと昔から仕事が1番大切だった。あなた達が来てからはもっと仕事にのめり込んで。養わなきゃならない家族が増えたからって、私をないがしろにした。まあ、別に今さらどうでもいいわ。とにかく私には関係ないこと。私には私の幸せを掴む権利があるの」


涼香姉さん、そんな風に思ってたんだ……


「ないがしろにした」なんて、お父さんは私達のために朝から晩までずっと一生懸命頑張ってくれてるのに。


「涼香姉さんが幸せになることは私の願いでもある。家族4人、みんなで幸せになりたいよ。でもね、そんな言い方したらお父さん、絶対に悲しむよ。姉さんを誰よりも大切に思ってきたのは、他の誰でもない、お父さんなんだから」


そうだよ、血の繋がった姉さんを大事に思わないはずがない。
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