ROCKな人魚姫《前編》


「ユウ、ごめんね。あたし、ガーター出しすぎた。」


『ユウ』と口にするだけで、心臓が飛び出てしまいそうになる。


「気にすんなよ。ってか、まだ酔っ払ってるんじゃないの?顔赤いし。」


「えっ。あはは。そうかも。」


慌てて自分の頬を触る。

確かに熱い。

お酒飲んだ後でよかった。

気持ちに気づかれていないことにほっと胸をなでおろす。


「お酒飲んでなければもうちょっとうまいんだからね?今度はお酒飲んでないときに行こうよ。」


「だな。それにしても、れん、飲んでたからなぁ。」


席が遠くて、居酒屋では会話もしてないのに。

あたしのこと見てたのかと思うと、嬉しさと恥ずかしさがこみ上げてきた。


「えーっ。見てたの~?ユウもシノブも席遠いから、エミと飲んだくれてたんだよ。今度はユウも居酒屋で語ろうね。」



「おう。もちろん。」







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