好きな人の婚約が決まりました。好きな人にキスをされました。
【3章】伯爵家侍女メアリーの場合

1.納得できない!

 瞬きを数度、わたしは首を傾げようとする。
 けれど、頭を、顎をガシッと押さえられていて、顔が全く動かせなかった。


(なにこれ、どういうこと?)


 自分の置かれた状況と理解が全く追いつかない。感情に至っては虚無といっても過言ではない。

 今日、わたしの大好きな人――――ジェラルド様の婚約が決まった。

 けれど、わたしは今、そんなジェラルド様にキスをされている――――。


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