好きな人の婚約が決まりました。好きな人にキスをされました。

8.メリンダの葛藤

「メリンダって最近、変わったわよね」

「……え?」


 ルームメイトのサルビアから唐突にかけられた言葉に、メリンダは困惑を隠せない。
 やましいことをしている自覚があるからこそ、サルビアの意図を色々と勘ぐってしまう。あれこれ考えた挙げ句、メリンダは静かに頭を垂れた。


「――――ごめんなさい」

「ちょ、いきなり謝る人がいる? まずは『どんなふうに?』とか『いい意味、悪い意味?』みたいなことを尋ねるものじゃない?」


 サルビアは半ば呆れた表情で、小さく首を傾げた。けれど、メリンダはもう一度「ごめんなさい」と繰り返す。


 メリンダが夜中に部屋を抜け出し、どこかへ出かけていることに同室のサルビアは気づいたのだろう。
 その上聡い彼女のこと。相手が誰なのか、今どういう状況にあるのか、説明せずとも分かっているに違いない。
 メリンダは必死に頭を下げながら、眉間にぐっとシワを寄せた。


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