好きな人の婚約が決まりました。好きな人にキスをされました。

2.レヴィの願い

 それから数か月おきに、アリスは孤児院に遊びに来るようになった。
 レヴィはその度に笑顔で彼女を迎え入れ、できる限りのことをする。


「あのね、これ、私のお気に入りの絵本なの! レヴィに読んでほしいなぁって思って」


 けれど、アリスの常識とレヴィの常識はやはり異なっている。「僕は字が読めないんですよ」と教えれば、アリスはかなりのショックを受けたようだ。


「そっか……そうだったんだ。じゃあ、アリスが教えてあげるね!」


 八つも年の離れた少女に教えを乞うことを、レヴィは少しだけ恥ずかしいと思った。

 けれどそれと同時に、とても嬉しいと感じた。

 これまではどうでも良かったことが、どうでも良くないことへと変わっていく――――レヴィは自分が変わりつつ有ることをハッキリと自覚ができた。


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