帰国子女の彼と過ごす日々はきっと甘くなるだろう
ホームシック?
〇ファミレス


亜子 「その子はうちの学校なの?」


梨沙 「あっ、うん同じだよ」


亜子 「早く見てみたいなぁ、かっこいい?」


梨沙 「うん」


亜子 「先輩とどっちが?」


梨沙 「……顔は多分陽くん……あー、わかんない」


亜子 「梨沙の心変わりもあるかもね、よーく考えなよ」


梨沙 「そのままそっくりお返しするわ(笑)」


亜子 「(笑)そうだね、あいつ今おばあちゃんちに行ってるんだよね」


梨沙 「行動知ってるんならやっぱりまだ好きじゃん」


亜子 「これからの態度次第だし……まだ新年明けてから連絡……」


亜子のLINEの音が鳴った。

梨沙は亜子を見た。

見なよと合図をした。


彼氏 〈明けましておめでとう!今年もよろしく、俺の可愛い彼女へ♡〉


亜子 「はぁ……許すか(笑)」


梨沙にLINEを見せた。


梨沙 「許してあげなよ(笑)そういう人って本当に忘れてるから性格だと割り切るしかないと思うよ、物忘れも多いでしょ」


亜子 「多い……」


梨沙 「根気が必要だね、ファイト!(笑)」



〇梨沙の部屋


亜子と別れて家に帰ってきた梨沙

隣は真っ暗だ。

まだ帰ってきてないみたい


梨沙 〈陽くん、私、帰ってきたけど、どこに行ってるの?〉


しばらく既読はつかなかった。

梨沙がお風呂から出て部屋に戻ると返信が入っていた。


陽翔 〈食事に連れてきてもらってる〉


梨沙 〈誰?〉


陽翔 〈金井さん〉


梨沙 〈どこの?〉


陽翔 〈モデル事務所の人〉


梨沙 〈了解〉


なるほど……事務所の人なら陽くんの連絡先は知ってるか

知らない人に付いていってなくてよかった。

梨沙はホッとした。




〇陽翔の部屋

次の日、午後からパパに車を出してもらい大きな物を買って帰り棚などをテキパキと組み立てていく梨沙

陽翔はその様子をじーっと見ていた。


陽翔 (いつも一生懸命で可愛い……)


梨沙 「昨日さ」


陽翔 「うん」


梨沙 「どうやって…その…事務所の人と会ったの?前日は何も言ってなかったでしょ?」


梨沙は陽翔の顔は見ずにダンボールを片付けながら話しかけていた。


陽翔 「電話がかかってきて、新年の挨拶をして家にいるっていったら車で迎えに来てくれた」


梨沙 「女の人?」


陽翔 「うん、スカウトしてくれた人」


梨沙 「ふーん…」(お正月から会うかな…)


ダンボールに紐をかけている梨沙

陽翔 「ご飯、食べさせてもらったけど、僕は梨沙の料理がやっぱり好き」


梨沙 「そう?高級なとこに行ったんじゃないの?料理には負けるよ、プロが作ってるんだもん」

うしろから聞こえる陽翔の言葉は素直に嬉しかった。


自然に口角が上がっているのが自分でもわかった。


ギュッと紐を縛りよし!と壁に立てかけた


梨沙 「まだまだやることたくさんあるね」

陽くんの方をクルッと向いた。



陽翔 「まだあるの?そろそろ疲れてきたよ、僕……梨沙に癒して欲しい」


梨沙 「どうやって?」


陽翔 「……ハグ」


梨沙 「だから〜、日本は……」


陽翔 「わかった、ごめん」


ベッドに座っていた陽翔は布団を被って梨沙に背を向けた。

少し鼻をすする音が聞こえた。

ホームシックなのかな?


梨沙 「じゃあ、私帰るね、また明日」


陽翔 「うん」


梨沙はダンボールを持って部屋をあとにした。
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