さよならの続き
「ね、パパにも見せてきて」
「うんっ」

大きく頷いた航太はまた駆けていく。

「パーパー!」

石段に座ってその様子を見ていた航平は、笑顔で航太を迎えた。
航太は航平の隣に座り、手を伸ばして貝殻を見せる。
航平は大袈裟に驚いたふりをして、航太の頭をなでた。
褒められた航太はご満悦。
航平にその貝を渡して、航太はまた砂浜を駆ける。
私は石段へ向かい、航平の隣に座った。
航太を見守る航平の横顔はやさしい。

私たちは今、航平の実家で暮らしている。
航平はこれまでの経験を生かし、前職とは別の製薬会社で課長職として働いている。

そして、技術の進歩というのはすごいもので、航平でもつけられるペースメーカーが今年認可された。
思いもよらぬ大ニュースに、私たちは抱き合って喜んだ。
明日、航平はペースメーカーをつける手術をする。

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