死神のマリアージュ
受信機体質の私は、人が多い場所には行くことができない。
人の気や念を受けまくった結果、必ず気分が悪くなるし、ひどければ倒れてしまうこともある。
だからショッピングモールみたいな「買い物をする場所」はもちろん(「買いたい」「欲しい」という購買欲や所有欲はかなり強力だ)、映画館や美術館や水族館や動物園、コンサートやスポーツ観戦とか、カップルや夫婦が普通にしてる「お出かけデート」は無理。私にはできない。

もしかして私は、無謀なことに挑戦しようとしてたのかな。
界人と一緒に・・なんてやっぱり無理なことかもしれない。
相手は界人に限らず、誰も・・。
そもそも受信機体質の私は恋愛に不向きなんだから。
と思うと、ちょっと悲しくなってきた、そのとき。
界人から返事がきた。

『制限つきでもいい。俺は雅希についていく。そして俺は、おまえを護る。だからおまえにとって一番最善な方法で服買いに行こう』
「・・・ばか」

選んだのに。「可能性は選べる」って分かったのに。
界人と私にとって幸せな未来の可能性を選ぶって、私は・・私が決めたのに。
界人だってそう決めたはずなのに。

もう凹むなんて。私のバカ。
私が選んだ生涯のパートナーは、“これくらいのこと”であきらめるような男じゃないでしょ?私が先に挫折してどうするのよ!
と自分で自分を励ましている間に、また界人からメッセが来た。

『いつ行くとかは来週あたりから決めよう。な?』
< 153 / 359 >

この作品をシェア

pagetop