死神のマリアージュ
「あ」
「どうした雅希」
「今世の界人“も”私にプロポーズしてくれた」
「マジか」「本気(マジ)です」
「父さんも“分かってる”くせに」

「だから界人をうちに連れてきたんでしょ」とまでは言わなかった。
代わりに私は父さんに「ありがと」と言った。

父さんも、私たちがゆくゆくは結婚することを認めてくれてるから。
もし「結婚という手続き」までしなくても、私たちは事実上、結婚したも同然の関係だ。
もちろん現段階では「婚約したも同然」の関係、とでも言ったらいいのかな・・とにかく今、界人と私が「つき合ってる恋人同士」なのは事実。
今世では(でも?)そういう絆でつながってるのは間違いない。

「それより界人は私に言うことがあるんじゃないの。プロポーズのほかに」
「あっ、そうだった!えっと。俺、将来ゼロ課で仕事するって決めたんだ」
「・・・もしかしてそれがこっちに戻ってきた理由だったの」
「違う!ってかまあそうだけど。でもそれ“だけ”じゃないって意味では絶対違う。俺はおまえと結婚したいからこっちに戻ってきた。それが最大の理由その一。ゼロ課に入りたいっていうのは、おまえと結婚することよりもそんなに大事じゃないっていうか・・・」
「ふーん」「そうか」
「いやそうじゃないです!けどなんていうか・・俺、頼雅さんと一緒に仕事したいし、ゼロ課っていう仕事の内容も興味あって。もちろん“興味がある”ってだけでやっていける仕事じゃないっていうのは分かってます。だからこそ、今から体と精神を鍛えてもらって、できる限り長くゼロ課で置いてもらいたい、俺を使ってもらいたいと思ってます」
「今からな」「はいっ」
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