死神のマリアージュ
結局私は、次に着たワークパンツと、ズボンの試着を終えた後に物色して見つけたピンク色の半袖Tシャツ2枚を買った。
ワークパンツを選んだのは、スリムタイプのジーンズより「ワイドなデザイン」だったから。動きやすいのはもちろん、制服みたいに足の中でも腿あたりのラインがパッと見、分からないのは気分的にも落ち着く。
それに両サイドのポケットは深めだから使いやすそうだし、膝近くのあたりにもポケットがついてるのは便利だ。そこを使うかどうかは別として。たぶん使わないと思うけど。

「未久おばちゃんと誠叔父さんが言ったとおりだった」
「なにが?」
「Tシャツ。色とかデザインとか、種類がいっぱいあったから、私でも選ぶ余地があったもん。これSサイズなのに窮屈な感じしないし」
「どうやらおまえにとって“窮屈じゃない”と“便利”は、服選びの重要なポイントらしいな」
「そうかも。でもこのワークパンツ、ポケットがたくさんある分、洗濯したら乾きにくいっていうデメリットもあるんだよね。そこまで考えてなかった」
「実際洗ってみないと分かんねえだろ。俺もそれのメンズ持ってるけどさ、今んとこ一日干しときゃ乾いてるよ」
「それならいい。出かけること自体ほとんどないし」「結局そこかよっ」
「それに界人とおそろいだから」「・・・色も同じだからな」
「ふーん」と私は言いながら、“私も”少し、照れていた。

「界人」
「ん」
「帰る前にトイレに行っておきたいんだけど」
「じゃあ俺も行っとくか」
< 198 / 359 >

この作品をシェア

pagetop