約束された結婚ーー鬼の花嫁は初恋相手と運命の相手に求婚される

クレープの味は



 放課後、待ちあわせのブティック前に着くと先に四鬼さんが待っていた。
 鬼月学園の白い制服を着ている時の存在感は強烈だが、うちの制服も見事に着こなしておりオーラを纏う。店先で立っているだけなのに絵になっている。

「あっ、桜子ちゃん! こっちこっち!」

「すいません、待たせてしまいましたか?」

「楽しみすぎて、授業終わるなり走ってきちゃったんだ」

 わたしを見つけるなり笑顔で迎えてくれる。そして鞄を持ってくれようと仕草で促す。

「いえ、自分で持てますから大丈夫です!」

「そう? 重たかったら遠慮なく言って」

「あの、四鬼さんの鞄は?」

「ん? あぁ、運転手へ預けたんだ。デートするには身軽な方がいいでしょ? はい」

 と、手を出された。

「えっと?」

 傾げる、わたし。

「繋ごう。これはデートの基本。それとも腕を組む?」

 四鬼さんも傾げ、微妙な角度で目線が合う。

「そんな! こ、困ります! こんな学校の近くで誰が見ているか分かりませんよ!」

「別に見られても僕は構わないーーけど、桜子ちゃんを困らせるのはいけないね。実はそう言われると思って、用意してあるんだ!」

 ブティックのドアを開け、四鬼さんがわたしを店内へ招く。
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