約束された結婚ーー鬼の花嫁は初恋相手と運命の相手に求婚される

覚醒☓因果



 翌朝、わたしが撒いた嘘の種は好奇心という花を咲かせていた。HRを終えた教室を様々な生徒が覗き込んで、ひそひそ噂する。

「見て見て、あの子よ。四鬼様と付き合ってるんだって」

「鬼月学園の王子様と付き合えるなんて一体何したんだろうね」

「まぁまぁキレイな子だけど四鬼様と釣り合う?」

 遠巻きで言われるだけ、直接投げ掛ける生徒はいない。

「面と向かって文句言ったら、四鬼千秋にチクられるかもしれねぇからな」

 涼くんが支度しつつ、鼻で笑う。

「告げ口なんてしないよ。厳密には出来ないんだけど」

「いいんじゃねぇ? 牽制にはなってるんだ。ただ四鬼千秋と付き合ってるなんてなれば、他の男は寄り付かないな」

 次の授業の体育は男女別れて行う。男子はサッカーをするらしく、涼くんの機嫌がいい。

 わたしはというと欠席するので、ここに残り読書する。医者から運動を控えるよう言われ、体育の授業はほぼ参加できない。
 そのため単位を取得するにはスポーツに関わるレポートの提出が条件とされていた。
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