声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました

『らるすさま、ありがとうございます』


 まだ拙い文字でお世辞にも綺麗とはいいがたい文字だが、それでも必死に書いている彼女の姿が目に浮かんでくる。
 彼女は私のたった一人の義妹となった。
 必ずあの子は私が守って見せる。二度とあのような辛い思いはさせない。

「ロルフ、これを父上に」
「かしこまりました」

 私は修道院に関する調査結果をまとめた資料を渡す。
 さあ、そろそろローゼマリーとの勉強の時間だ。

 ちらりともう一度彼女からもらった手紙を一瞥すると、私は彼女のもとへと向かった──
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