崖っぷち告白大作戦⁉︎〜彼氏と後輩に裏切られたら、何故か上司に寵愛されました〜
 調べを進めるうち、子会社であるミライの社員が怪しいと突き止めた(じん)たちは、内部からそれを探るためにアスマモルからミライへと出向したのだ。

 アスマモルの《《営業部》》にいたはずの風見(かざみ)斗利彦(とりひこ)が、何故か畑違いであるはずのミライの《《総務課長》》へ就任していることを不審に思った尽たちは、その辺りから徐々に包囲網を狭めていき、風見の上に江根見(えねみ)則夫(のりお)がいることを突き止めた。

 元々アスマモルの方で風見の部下として働いていた営業の沖村が、開発部にいた同期の伊崎(いざき)から例の薬のことを聞きつけて、上司の風見に酒の席で「そんな薬があったら好みの女を好き放題出来ますよねぇ」と下卑(げび)た話を振ったのがきっかけだったと、先に押さえておいた沖村、伊崎から裏を取ってある。

 江根見則夫と風見斗利彦が怪しいというのは比較的すぐに突き止められたのだか、薬を使って良からぬことをしているという肝心の証拠がずっと掴めなくて。

 尽たちは則夫の管轄する営業部の社員全員と、則夫の娘・江根見(えねみ)紗英(さえ)、そうして情報漏洩(ろうえい)の一端を(にな)ったと思われる風見が在籍する総務部を徹底的にマークした。
 その中で、紗英の教育係をしていた玉木(たまき)天莉(あまり)のことも調べた尽たちは、天莉がこの件に関しては全くの白であることを知ると同時に、副産物的に天莉に関する他の情報も得ていたのだ。

 実際には天莉だけでなく、営業部、総務部の全社員について天莉と同じように交友関係など様々なデータを収集していた尽が、天莉と出会ったばかりの頃、《《別件で》》天莉のことを調べていたと言ったのは、そういうことだった。
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