排他的に支配しろ
《支配》




 夜が長い。

 ベッドに入って体感一時間。一向に眠気がやってこない。

 床で寝ると言ってくれた《心理》は、もう眠っただろうか。

 わたしが優柔不断だから……《心理》といると決めたのにまだ春日さんのことを考えてしまうから、居心地の悪い夜になっている。



「《心理》……」

「……なに」



 呟いた独り言に、返事が来た。

 起きてたんだ……。《心理》も眠れないのかな。



「その……寒くない? こっちで一緒に寝ようよ」

「いい。狭くなるから」

「わたし、気にしないよ……」

「おれが気にしてる」



 わたしを特別だと告げた《心理》。

 正直、追いかけてもらえるようなことをした覚えはない。

 キョウダイの中で、飛び抜けて仲が良かったわけでもないし。


 というより、キョウダイで誰かと仲良くなれていた感覚自体、ない。

 空気感が、自分だけ違う気がして。うまく絡みにもいけなかった。

 ……わたしが《心理》の立場だったら、助けに行ってたのかな。



「《心理》は……どうしてこの街から出たいの?」

「……は?」

「あっ、ま、街の中でも、暮らしていける方法はあるんじゃないかなって、思っちゃって……」


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