クールな君と愛しすぎる僕
シャワーを浴びてると、突然風呂場のドアが開いた。
「え?」

「寧音ちゃん!!」
「登━━━━うぐっ!!?」

登羽が入ってきて、抱き締められた。


「もう!勝手に僕の腕の中からいなくならないで!!」
「ごめんね。
でも、寝てたから」

「だからって、ダメ!!
僕から離れないで!!」

「うん。ごめんね」

「僕から離れる寧音ちゃんは嫌い!」

「ごめんね。もうしないから」

ワガママを言う登羽を必死になだめて、やっと落ち着いたところでそのまま風呂に入る。


「━━━━はい、寧音ちゃん!
髪乾かすから、こ!こ!来て!」
自身の足の間を指差す。

頷き座ると、登羽が寧音の髪の毛を乾かしだす。

「フフ…フフフ……」
後ろから登羽の楽しそうな声が聞こえてきて、振り返る。

「何?」

「ん?寧音ちゃんが、僕にこんな風に委ねてくれてる時、ほんっと幸せだなって!」

「え?」

「寧音ちゃんのお世話するの、好き~!」
「お世話って…
私、子どもじゃないよ」

「フフ…あ、でも!お世話してもらうのも好き~」
「どっちなの?」

幸せそうに話す登羽に、淡々と突っ込む寧音。

そんな寧音に顔を近づけ………

「要するに……僕は常に寧音ちゃんと一緒にいて、何でも一緒にして、寧音ちゃんだけ見て、寧音ちゃんの声だけを聞いて、感じて生きていきたいの。
…………だから寧音ちゃんも、僕だけになって?」

そう言って、口唇を塞いだ。


それからまた、貪るように何度も抱き合った二人。

今度は登羽が先に目を覚ました。
スマホを見ると、晴彦から何度も着信が入っていた。
スマホの時計は、AM5:36を表示している。
「ん……5時半か…」

起き上がり、寧音の写真を何枚も撮る。
そして、晴彦に電話をかけた。

『ん…もしも…』
かすれ声で出た晴彦。

「おはよ」

『ん…』

「ごめんね、はる。
今、気づいた」

『ん…』

「何回もかけてきてたみたいだけど、何?」

『ん…何だっけ……待って、寝ぼけてて…
あ…和光って奴のこと、わかったって報告…』

「そう。ありがと、調べてくれて。
それで?」

『単刀直入に言うと、会わせない方がいいよって話』
だいぶ、晴彦も頭が冴えてきて口調がはっきりしてきた。

「ふーん。
会わせないよ、できる限り」

『でも、会社一緒だろ?
………しかも和光は“好きだから”別れたみたいだぞ』


「は?
“好きだから別れた”って、意味がわかんない」
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