死体写真2
「仕方ないよね。写真が届いたのは美幸なんだから」


明日香がじりじりと美幸に近づいてくる。


美幸は必死に身を捩って逃げ出そうとするけれど、豊がそれを許さなかった。


明日香が美幸の手首を掴み、痛いほど床に押し付けてくる。


カッターナイフの刃が手首に押し当てられてチクリとした痛みが走る。


その瞬間美幸の両目から涙がこぼれだした。


自分はここで死ぬんだ。


あの写真と同じように、手首から血を流して。


一瞬明日香の手が止まる。


まるで美幸の様子を確認するように顔色を伺っている。


助けて!


やめて!


心の中で必死の叫び声をあげるけれど、口が塞がれていて声にならない。


手足が少しでも動けないいのに、それもかなわない。


やがて明日香はカッターナイフを握りしめている手に思いっきり力を込めた。


薄い肉をサックリと切り裂いていく感触がある。


太い血管が切れて、パックリと開いた傷口からジワリと血がにじみ出てくる。


あとは噴水のほうに次から次へと血が流れ出し、生暖かな水たまりを作るのだった。
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