死体写真2
「あいつはまだ死んでなかったんだ! そこに毅が現れたから、身代わりに殺した!」


「そんなはずない!!」


大河は自分の残り時間が差し迫っていたから、自分から死に様を見せないように山へ入っていったんだ。


そんな人が、哲也を殺すなんてありえない!


必死に否定する結に毅が冷めた視線を送る。


「お前、1年前に彼氏が死んだのにもう他の男かよ」


その言葉が胸に突き刺さる。


違う。


そんなんじゃない。


否定したいのに言葉が続かない。


大河に頼り、大河に支えられていたのは事実だ。


だから、大河が哲也を殺したなんて信じたくないだけだ。


毅は前を向いて歩き出す。


けれど結はその場から動くことができなかったのだった。
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