ホワイトデーの恋人
「はあぁぁぁ…。疲れたぁ、」

季節は冬。

外には雪がパラついていて、社内のみんなはダウンジャケットを身につけていた。

そして関係ないけど私は今とても機嫌がいい。

なぜなら早上がりできそうだからだ。

「香織ちゃんごめんねぇ、これも今日中に頼むよ」

嘘、私の定時がぁ…

「…分かりました」

はい。

分かってますいつも通り残業ですよね。

舞い上がってすみませんでした。

なんて心の中でブツブツ言っていると、その心の声は顔にも出ていたようで周りの人が私を見てビクついている。

「ん〜、もう!」

私はそう言いながら両手で自分の頬を叩いた。

ジーンと痛む頬を押さえることもせず、ただ資料に目を向けた。
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