マグ

彼はお握りやらパンやら、カゴに放り込むように入れて行く。


私の方を振り向いて


「俺の家、飲み物はあるけど食い物はないから、好きな食い物カゴに入れなよ」


と言った。


私は迷いに迷って、生春巻きを彼が持っているカゴに入れた。


「そんなんでいいの?」


彼が訊いた。


「はい」


私は籠の中の春巻きを覗き込みながら答えた。



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