"ぶっきらぼうで笑わない女神"の恋愛事情
無情にも時は過ぎる。真琴をタクシーで送って行くことにした。後部座席に座り、彼女の手を握った。あからさまに嫌がる表情は見る勇気がなく顔を逸らしたのだが、思いのほか受け入れられていたようで安堵した。
絶対に酔わないと豪語していた彼女が、必死に睡魔と戦い、うつらうつらしている姿には完全に心を持っていかれた。

とうとう深い眠りに落ちた彼女を恭平の自宅に連れて帰ろうと、運転手に行き先を変更してもらう。
自宅マンションの手前まで来たところで、洸平に電話をかけた。

「もしもし、兄さん?」

「すまん、こんな時間に」

「いいけど、どうしたの?」

「もうすぐマンションに着くんだが、下まで降りて来られるか?」

「え?う、うん、大丈夫だよ」

「じゃあ、今から車寄せのところまで来てくれ。鍵を開けて欲しい」

「うん、わかった」

外に出てきた洸平は目を丸くし、言葉を失っていた。無理もない。真琴が社員だったということは昨日説明済みだが、その翌日にこの状況だ。思考が停止してもおかしくはない。

我に返った洸平は、開口一番「女神が天使になっちゃった」と、真琴の寝顔に柔らかい笑みを向けていた。

まさしく、天使のような寝顔は、恭平にとって極上の褒美だ。彼女を横抱きにし、部屋へ連れて帰ると、恭平のベッドにそっと寝かせ、手で優しく頬に触れる。

「兄さんが真琴さんを連れて来るなんて、びっくりだよ!」

「家に送るつもりだったんだが、こうなってしまった」

「あれま。でも、ホント可愛いなぁ」


さあ、彼女の目覚めが楽しみだ。





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