"ぶっきらぼうで笑わない女神"の恋愛事情
過保護な彼
心も身体も恭平に埋め尽くされ、生身の愛を知った。

仕事がやりにくくなるのは不本意だろうと、真琴の意を汲み取り、職場では関係を伏せてくれている。
お互い社内で顔を合わせることは滅多にないが、周囲がざわついているなと感じ取った時は、必ずと言って良いほど恭平がいる。
圧倒的なオーラは健在だ。そんな恭平を真琴は遠くから見ているだけなのだが、ふと、とてつもなく遠い存在なのだと不安になる。その上、忙しい恭平と過ごす時間は限られていて、寂しさは募る一方だ。
けれどそれは、恭平も同じらしく、その分、二人きりになると真琴を離してはくれない。
ソファーに座れば真琴を膝の上に乗せべったりとくっつき、風呂上がりの真琴を捕まえ髪をドライヤーで乾かしてくれたり、美味しいコーヒーを淹れてくれたり、うとうとしてくるとお姫様抱っこでベッドに運んでくれたり、でろっでろに甘やかす。

小料理屋の娘にも関わらず、料理があまり得意ではない真琴は、時々失敗してしまうことがある。
部屋は常に整理整頓され、水回りまでピカピカに磨き上げる潔癖主義者なのに、妙なところが大雑把で、料理はいつも目分量。
そんな真琴にも恭平は甘い。味付けが薄くなってしまった時は、健康にはこれくらいがちょうどいいと言い、濃くなった時も、疲れた時はこれくらいがちょうどいいと言う。
洸平の料理を食してきた恭平には、心から申し訳ないと思っている真琴に、俺しか知らない真琴が増えて嬉しいと言ってくれる。

氷海のプリンスも真琴の前では温泉のプリンスだった。

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