地味系男子が本気を出したら。


メガネをかけた僕ってこんな風に映ってるの…?
ほ、褒められてる?喜んでもいいのかなぁ…。


「これは…かわいいキーホルダーね」

「あ、それね」


僕は自宅の鍵をぶら下げた同じキーホルダーを見せた。


「お揃いなんだよ」

「…ちょっと恥ずかしいわ」

「えっ!?嫌だった!?」

「そうじゃなくて!…嬉しいんだけど、ちょっと照れ臭いだけ。
でもありがとう、大事に使わせてもらうわね」


そう言って頬を赤らめる桃がものすごくかわいい。
あまりにもかわいすぎて…思わず桜色の唇にそっと触れる。


「…してもいい?」

「っ、そういうのは聞かないでするものよっ!」

「えっ!?あっ、ごめん…!」


だって、桃の嫌がることはしたくないから…!
本当はずっと触れたいと思ってた。

でも、君のことを誰よりも大切にしたい。
この先もずっと、一緒にいたいから。


「…桃、大好きだよ」

「私も…」


光り輝くクリスマスツリーの下で、初めてのキスを交わした。
初めて触れた唇は冷たくて、でもとても甘くて…胸の中はとても温かかった。


「こんなに幸せなクリスマス、初めて…っ」


ポロポロと涙をこぼす君は、今までで一番綺麗で愛おしいと思った。

真面目でクールでしっかり者で、だけど僕の前でだけ繊細で甘い君が大好きだよ。
どんな君もまるごと受け止めるから、僕の前では全部見せてね。

僕はまだまだ未熟で地味で、映画のヒーローみたいにはなれないけど。
君がいれば強くなれるから。
君のためなら、何だってしたいって思えるんだ。

これからも、君だけのヒーローでいられますように。


「これからもっと、幸せにするね」



fin.


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