地味系男子が本気を出したら。


場違いにもそれを喜んでいる自分がいるのが、どうしても否めない。

そんな気持ちをどうにかして押し込めて、蓋をした。
春日井さんは真剣なのに、僕のことなんかどうでもいい。


「春日井さんのお姉さんは…多分努力家なんじゃないかな」

「努力家…?」

「うん、好きな人に好きになってもらうために、すごく努力する人なんじゃないかなって思ったんだけど」

「…そんなんじゃないわよ。ただのぶりっ子なの」

「でも、それも好きな人に愛されるための努力なんじゃない?」


本当のことはお姉さん自身にしかわからないことだけど、だって春日井さんのお姉さんだから。

春日井さんも勉強なり運動なり、何でも真面目に取り組むしとても努力している。
任された学級委員の仕事も、真摯に向き合って頑張ってる。

お姉さんもきっと、頑張っていることの方向性が違うだけで、努力家なんじゃないかなぁ…って。
そう思ったんだ。


「好きな人のために努力するのは、とてもすごいことだと思うよ」

「…黄瀬くんって、すごいのね」

「え?」

「お姉ちゃんのことそんな風に言ってくれる人、初めてだわ」


春日井さんは僕に向けて、僕だけに微笑みかけてくれた。
その優しい笑顔があまりにも綺麗で…釘付けになって、ずっと頭から離れない。

やっぱり君は、僕の女神だ。
でも、もっともっと君の心に触れたい。


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