【一気読み改訂版】とし子の悲劇

【第106話】

時は、6月に入ったあたりであった。

このあたりぐらいからであったが、家庭内が少しずつおかしくなりだした。

アタシとあいつの夫婦関係とアタシとあきとさんのおやこ関係は、少しずつ悪くなりだした。

あきとさんは、高校卒業してから17年に渡って少ないお給料で箱の折りたたみの仕事だけで通してきたが、もうギブアップ寸前におちいった。

この最近、工場内の従業員さんたちの間でくすぶり続けていた不満が爆発する恐れが出た。

どんなにがんばっても、お給料は現行すえおきのままであった…

そうした不満が工場の従業員さんたちにマンエンした。

あきとさんだけではなく、工場の全従業員さんたちは今まで蓄積された怒りが大爆発する一歩手前にまで来たようだ。

それと同時に、アタシは身の危険にさらされるようになった。

2024年6月11日辺りから、あきとさんの目つきが悪くなった。

それに伴って、アタシとあいつの親子関係が悪くなった。

それとは別の話であるけど、アタシはこの最近レイプの被害を受けるようになった。

アタシが洗濯しようとしていたインナーやブラジャー・ショーツが洗濯かごの中からひんぱんになくなるようになった…

アタシが着替えをしているところやシャワーを浴びているところなど…を何者かがスマホのカメラで動画撮影していた…

6月18日頃であった。

洗濯かごの中からなくなったと思われるブラジャー・ショーツをつけているアタシの写真がリペポル(リベンジポルノ)にアップされた…

この時、背中を染めている刺青《すみ》の写真もアップされた…

その翌日には、眠っているアタシがグチョグチョに犯された写真がリペポルにアップされた…

竹宮《たけみや》がリペポルにアタシのいやたい写真をアップしたに違いないわ!!

許さない!!

アタシは、ドカーンとブチ切れた。

その一方で、ダンナは仕事仕事と言うて逃げ回ってばかりいた。

あきとさんも、アタシに強いうらみを抱くようになった。

そしてとうとう、おそろしい悲劇が近所中へ拡大した。

2024年6月20日から3~4日の間に豊平区水車町内《うちのきんぺん》で怪事件が相次いで発生した。

場所は、うちから4軒先の家にて…

家の中に36歳の奥さまと赤ちゃんがいた。

奥さまは、赤ちゃんに母乳《おちち》(おちち)を与えていた。

そこへ、黒のゴーグルをつけてヤキソバヘアの不審な男がやって来た。

不審な男は、言うまでもなく竹宮《たけみや》だった。

竹宮《たけみや》は、スマホで赤ちゃんが母乳《おちち》をのんでいるところを動画で撮影した。

この時であった。

「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
「オギャー!!オギャー!!オギャー!!」

奥さまが恐ろしい悲鳴をあげた。

同時に、赤ちゃんの泣き声が激しく響いた。

竹宮《たけみや》は、その場から逃げ出した。

この4日の間に、同様の事件がキンリンで多発した。

怪事件のニュースを聞いたキンリン住民たちは、より強い危機感をつのらせた。

それと比例するように、あきとさんは工場を勝手に休むようになった。

6月25日の朝8時過ぎであった。

あきとさんとダンナはしんどい表情で家から出た。

このあと、アタシは郵便受けに入っている郵便物を取りに行こうとした。

アタシが、郵便受けの中に入っていた郵便物を取り出そうとした時であった。

近所の奥さまが、ものすごく怒った声でアタシを凄んだ。

「とし子さん!!」
「ああ…奥さま…おはようございます。」
「おはようございますじゃないわよ!!今日は気持ちがむしゃくしゃしているから八つ当たりしないと気が済まないのよ!!」
「あのー、どう言ったことで怒っているのですか?」
「あんたね!!ここ数日の間にうちの近辺で暮らしている奥さまたちが不審な男による被害を受けたのよ!!不審な男がスマホのカメラを使って動画で隠し撮りしていたところをちょくちょく見かけたのよ!!そんな時によくのんきな顔でいられるわね!!」
「奥さま、不審者の男とアタシがどういう関係があると言うのですか?」
「あんたね!!ノゾキ魔をかくまうのもたいがいにしてよね!!」
「奥さま!!それはどういうことでしょうか!?うちの義息《むすこ》が動画を撮影した不審な男だと言いたいのですか!?」
「その通りよ!!」
「奥さま!!アタシにいちゃもんつける気ですか!?」
「いちゃもんつけたのはとし子さんの方よ!!」

この時であった。

家から200メートル先にあるニトリの広告がついている電柱の影に竹宮《たけみや》が隠れていた。

竹宮《たけみや》は、ちびたえんぴつでアタシの弱みなどを書きながら盗み聞きしていた。

その間に、近辺の奥さまはアタシをイカクした。

「あんたはダンナとグルになってノゾキ魔の伜《バカ》をかくまった…あんたたちの無関心が原因で伜《バカ》がのぞき魔になったのよ!!アタシたち住民は、ものすごく怒っているのよ!!この際だから伜《このいえのクソバカ》を始末しなさいよ!!」
「始末しなさいよって…」
「伜《クソバカ》に対して警察署に行って自首しなさいと説得してよね!!」

奥さまが言うた言葉を聞いたアタシは、ドカーンとブチ切れた。

「ジョートーだわ!!うちの子をブジョクするようであれば、アタシにも考えがあるわよ!!あんたがアタシにいちゃもんをつけたことを知人の組長に言いつけるわよ!!」
「うちかて、知人にやくざがいるわよ!!関西のやくざに知り合いがいるわよ!!」
「それがどうかしたと言うのよ!!アタシの知人のやくざは極悪非道よ!!北九州の極悪非道のやくざの親分に電話して、あんたの家の家族を一人ずつトカレフでぶち抜いてくれと頼むから覚悟しておきなさい!!」

アタシと奥さまは、激しい口調でののしったあとドカバキの大ゲンカを起こした。

アタシは、近所の奥さまから髪の毛を引っぱられた上に爪で顔をかきむしられたことによりケガを負った。

アタシは、近所の奥さまがつけているショールを破いたあと平手打ちで顔を叩くなどして仕返しした。

電柱の影に隠れている竹宮《たけみや》は、ちびたえんぴつでメモ書きをしながら『ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ…』と嗤《わら》いまくった。
< 106 / 135 >

この作品をシェア

pagetop